震災の津波や地震で家を失ったり原発事故で避難を余儀なくされたりした人が入居する災害公営住宅は、岩手・宮城・福島の3県で最大3万戸近くが整備されました。
NHKが災害公営住宅を管理する3県の自治体に取材したところ、主に住宅内で誰にもみとられずに亡くなった、いわゆる「孤立死」は、去年12月末までに少なくとも合わせて355人に上ったことがわかりました。
▽宮城県は18の市と町への調査で合わせて132人、
▽岩手県は県への調査で118人、
▽福島県は県と統計を取っている22市町村への調査で105人となっています。
このうち今年度の4月から12月までで少なくとも合わせて48人の孤立死が確認されています。
また、入居者の高齢化も進んでいて、去年12月末の時点で3県の災害公営住宅のうち、宮城県多賀城市を除く自治体での65歳以上の高齢者の割合は44.6%で、3県全体の高齢化率の31.7%を10ポイント以上、上回っています。
災害公営住宅ではコミュニティづくりのために当初はイベントなどを通して住民どうしの交流の機会が設けられてきましたが、時間がたつなかで高齢になるなどして参加が難しくなったり、イベント自体が開かれなくなったりして、交流の機会も少なくなっていて、住民の孤立が深刻化しています。
こうした状況について、災害公営住宅のコミュニティーづくりに詳しい岩手大学の船戸義和客員准教授は、「住民たちが集まる持続可能な仕組みができておらず、つながりが薄れている。少額の報酬をもうけたうえで住宅の清掃をするなど、住民が関わる小さな機会を多くつくり、『孤立』を防ぐことが必要だ」と話しています。