国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会は去年の夏に日本で初めて行った調査結果を6月の理事会で報告し、「日本には人権に関する構造的な課題がある」などと指摘しました。
調査にあたった専門家、ピチャモン・イェオファントン氏が来日し、7月、NHKの単独インタビューに応じました。
ピチャモン氏はまず、日本では職場の中で性別にもとづく差別やハラスメントが存在していると指摘した上で、「性別をもとにした日本の社会規範はもはや時代遅れで機能していないことを受け止め、社会が一丸となって最新の規範に変えていくことで包括的で持続可能な社会を構築できるはずだ」と指摘していました。
今回の来日では調査結果を関係者に伝えているということで、報告書で指摘されたジャニー喜多川氏の性加害問題についても、旧ジャニーズ事務所から社名を変更した「SMILE-UP.」側に「引き続き深い憂慮を抱いている」などという指摘の内容を伝えたということです。
そのうえで「対話の機会は企業のみならず被害者にとっても非常に重要で、今後も状況をモニタリングしていきたい」と話していました。
また、性被害を告発した人たちがひぼう中傷にさらされている現状に「非常に深刻な状況で受け入れられない。企業としてもひぼう中傷は絶対許さないということをトップから明確に発信してほしい」と訴えました。
そして、日本に政府から独立した人権機関がないことについて「国内人権機関があれば、被害に遭った人たちが報復をおそれずに発言することができる。ほかの国でも効果的な組織となっていて、人権侵害を予防することにおいても非常に有益だ。政府や企業の説明責任や方策を検証する監視役の組織が必要で、今こそ政府がリーダーシップを発揮して設立してほしい」と話していました。