医療現場では、特定の地域や診療科に医師の数が偏り、地方の病院などで医師不足を引き起こすいわゆる「医師の偏在」が深刻な問題となっています。
こうした中、厚生労働省は5日、偏在の解消に向けて具体的な対策を考える対策推進本部を設置し、本格的な議論を始めました。
会議では武見厚生労働大臣が、「急激な人口構造の変化や医師の高齢化の現状を踏まえると、偏在対策はもはや待ったなしの課題だ。偏在を何としても解消するという強い覚悟と決意を持って精力的に検討していく」と述べて、部署を横断して抜本的な対策に取り組む考えを示しました。
厚生労働省は新たな対策として、開業医が多い地域での新規の開業を抑制するため、開業を希望する医師に在宅医療や救急対応を担うといった一定の要件を設けられないか検討する方針です。
また医師が少ない地域を対象に、医療機関に対する国の財政支援の強化や、大学の医学部で、卒業後に一定期間、特定の地域での勤務を義務づける「地域枠」の拡大なども検討する見通しです。
厚生労働省は今後、専門家を集めた検討会でも意見を聞いたうえで、年末までに対策を取りまとめることにしています。