伝統芸能の拠点である国立劇場は去年10月末に閉場したあと、歌舞伎や文楽などの公演を都内のホールなどを借りて行っています。
このうち歌舞伎は今月、渋谷区の新国立劇場で名作「夏祭浪花鑑」が上演されています。
この劇場ではふだん現代劇やミュージカルなどを上演しているため歌舞伎の舞台機構が無く、今回、特設の「花道」が設けられました。
国立劇場の花道に比べると3分の1ほどの長さですが、客席によっては花道の演技が真正面から見られることが話題となっているということです。
演目は大阪の夏祭りのさなかに起きる殺人事件を描いたもので、俳優たちは激しい立ち回りや見得をしてダイナミックな演技を披露していました。
主役をつとめる坂東彦三郎さんは「劇場の形が無くても心が切れるわけでは無いのでしっかり歌舞伎も国立劇場の思いを消さないよう努めたい」と話していました。
観劇した60代の女性は「劇場が国立劇場より小さい分、花道の演技も近くて臨場感ある舞台になっていてよかった」と話していました。
閉場した国立劇場は建て替え工事の入札が成立せず、再開場の見通しが立たなくなっていて、文化庁は8月に入札の条件を変更するなどこれまでの整備計画を見直す方針を示しています。